【クルマ人】「汚い・遅い・高い」ディーゼルのイメージ刷新 マツダ人見氏+(1/4ページ) - MSN産経ニュース
「汚い・遅い・高い」ディーゼルのイメージ刷新 マツダ人見氏
2011.10.30 18:00 (1/4ページ)[クルマ人]
マツダの人見光夫・執行役員パワートレイン開発本部長
マツダは、2012年に次世代のクリーンディーゼルエンジン「スカイアクティブD」を搭載したSUV(スポーツ用多目的車)「CX-5」を発売する。日本ではパワー不足や排ガスのイメージが強いディーゼルエンジンだが、軽油1リットル当たり18・6キロ走る燃費性能とともに、大排気量ガソリンエンジン車並みの高出力を実現した。開発責任者の人見光夫執行役員に、ディーゼル復権の意気込みを聞いた。
--ディーゼルエンジンは日本では不人気だが
「ディーゼルエンジンはもともと燃費性能では評価が高かった。ディーゼルを搭載したRV(多目的レジャー車)ブームが起こっていた1980年代に、国内販売台数に占めるシェアは10%を超えていた。ところがディーゼルエンジンは排ガス中に、窒素酸化物(NOx)やすすなどの有害な粒子状物質(PM)を出しやすいという問題があった。このため日本では、ディーゼル車の排ガス規制が厳しくなるとともに、ほぼ消滅してしまった。一方、欧州ではコモンレール(超高圧燃料噴射システム)の発明で、ディーゼルエンジンの排ガスのクリーン化に成功したうえに、ターボチャージャー(過給器)なども付いたことで走りも改善され、シェア50%を超えるまでになった」
--日本メーカーがクリーン化に取り組まなかったのは
「その後もディーゼルエンジン車に対する排ガス規制は厳しくなるばかりで、規制に対応するためのコストはどんどん上がっていったという経緯がある。現在の日本の排ガス規制は、NOxは1994年に比べて84%、PMは98%減らすことが義務づけられている。ここまでいくと、排ガスのクリーンさはガソリンと遜色ないが、規制に対応するためにコストが大きく上昇するという悪循環に陥ることになった。そのうえ、日本では昔からの『汚い』『うるさい』に加え、ターボが付いていない車種が多かったので、『遅い』し、それでも値段が『高い』という悪いイメージだけが残っていた。欧州ではコモンレールのおかげで高い燃費性能という本来の良さに加えて、ターボを付けて大変走りが良くなったので、プレミアムエンジンとして、定着している」
--ディーゼルエンジンの現状と課題とは
「欧州ではコモンレールの発明後、急激にディーゼルエンジンはシェアを50%まで伸ばしたが、最近では伸びが鈍化している。その理由の一つに、燃費性能を犠牲にすることで、排ガス対応を進めてきたという経緯がある。このためガソリンエンジンに比べて、コストがかかりすぎるという問題もある。コモンレールは非常に優れたシステムだがコストが高い。またターボは、走りに貢献するうえに、排ガス規制に対応する上でも必要だが、これもコストがかかる。EGR(排ガス再循環装置)もガソリン車よりも大きく、コスト高だ。さらに今後の日米欧の厳しい排ガス規制に対応するため、他社は『尿素SCR』や『NOx吸着触媒(LNT)』といった高価な排ガス後処理装置を付ける方針を掲げている。このためディーゼルエンジンの復権には、コストの低減と規制によって犠牲になっていた燃費性能の向上が不可欠との結論に至った」
--「スカイアクティブD」は従来のディーゼルエンジンと何が違うのか
「開発に当たって、2ランク下の排気量のガソリンエンジン車と同等まで低燃費化するとともに、ハイブリッド車(HV)以上の経済合理性を持たせるという目標を掲げた。これは現行のディーゼルエンジンと比べると、2割ぐらい改善しなければいけない水準だ。高いハードルを越えるため、世界一の低圧縮比(14・0)を達成した。これによりCX-5に搭載する排気量2200ccのスカイアクティブDは、ディーゼル本来の燃費の良さを引き出し、SUV(スポーツ用多目的車)のHVや他社のディーゼルエンジンをしのぐ燃費性能を実現した」
--走りの性能は
「走りの良さを表すトルクは、2000回転で420ニュートンを出せる。これは排気量4000ccエンジンよりも高いうえに、ディーゼルでありながら最大で5200回転まで回るので、大排気量のガソリンエンジンの走りと同等だ。コスト面でも、他社は今後、高価な排ガス後処理装置をつけて、規制強化に対応していく方針のようだが、マツダはこのエンジンで、世界で最も厳しいといわれる日本の『ポスト新長期排ガス規制』に加え、米国の排ガス規制に対しても、後処理装置なしでクリア成功することができた」
--いま、なぜティーゼルエンジンなのか
「ディーゼルエンジンは地球と日本、ユーザーのすべてに優しい。まずCO2の排出量が少ないので、当然、地球に優しい。日本は、ガソリンに偏りすぎている。原油からは、ガソリンも軽油も同量だけできるが、軽油は外に輸出している。これに対してガソリンは不足気味なため、軽油を化学的にガソリンに変換したりして、余計なエネルギーを出している。ディーゼルエンジンのシェアが10%になれば、CO2排出量を約170万トン減らせるという試算もあり、日本に優しいといえる。また、軽油はガソリンより安いので、ユーザーにも本当に優しい。ディーゼルエンジンは、車にとって必要な社会性を十分に備えたエンジンといっていい。規模の小さなマツダが目指す“ワンアンドオンリー”を体現するのにふさわしいエンジンになったと確信している」
3ヶ月前 • リアクション